日本酒の味の決め手となる酵母とは…その⑤ これぞ並行複発酵のすごさ(終)
2020/8/1
こんにちは、杜氏の雄二郎です。
前回の記事で、
酵母が糖を食べて、アルコールと二酸化炭素を発生する
そして、それは糖の半分がアルコールになる!
ということを書きました。
おさらいすると糖度10.5%のバヤリースオレンジを完全に発酵させると5.5%のバヤリースワインが出来るわけです(笑)
では本日の本題に戻り、アルコール度数18%の日本酒を造るにはもろみ(米・米麹・水・酵母が混ざり合った状態)の糖度が36%ないといけないわけです。
バヤリースや葡萄と違って、お米ってそんなに甘くないはず!
でも、待て。
確か その② で【並行複発酵】がなんとかって言っていた気がすると思った貴方はもうそこまできています!笑
そうです。
麹が蒸したお米を甘くしています!
そしてその糖を酵母が発酵。
ただこの【並行複発酵】がすごいのは、
一度にもろみの糖濃度を高めてしまうと、発酵する酵母に負担がかかるので、少しづつ甘くしつつ、それに伴い酵母もアルコールを造るという作業が同時に行われています。
そうすることでアルコール度数が18%という、醸造酒としては世界でも類を見ない高いアルコールを造ることが出来るわけです。
※醸造酒→穀物や果実を酵母によってアルコール発酵させて造ったお酒
蒸留酒→原料を発酵させた醸造酒をさらに蒸留して造ったお酒
また詳しく説明しますが、簡単にいうと
(例)ワインが醸造酒で、ワインを蒸留するとブランデーになる感じです。
そして最後は、酵母は頑張ってアルコールを造ってきたのに、その自分が造ったアルコールにより、徐々に酵母は死んでいきます。。。
なんか悲しい話だと思いませんか。
それにより、私たちは毎日楽しい食卓を過ごさせてもらっているので酵母に感謝したいもんです。
ありがとう、酵母! (終わり)
(前回まで)日本酒の味の決め手となる酵母とは… その① その② その③その④
本日のオススメは福千歳を代表する1本
長々とありがとうございました。
(担当)杜氏
福井の日本酒蔵
山廃蔵【福千歳】田嶋酒造株式会社