【山廃仕込】についてその④ 何故ゆえに山廃仕込という名称が付いたのか。

2020/7/15

こんにちは、杜氏の雄二郎です。

山廃仕込についても味わいや原理なんかについては簡単に書きましたので、今日はなぜこういった名前が付いたかについてサラッといきます。

まず、意外と多い読み間違いとして【サンパイのお酒】下さい。ということがあります。

 

気持ちは良く分かります!何かサンパイのほうが格好よかったりしますからね。

ここまで知る必要はないと思いますが、名前の経緯を知ると、あぁ、だから(やまはい)なのねと分かってもらえるかと。

 

では、この話をするには【生酛(きもと)仕込】という造り方から逃げる訳にはいきませんので簡単に。

 

昔から様々な方法で酒造りはされてきたと思いますが、昔ながらの方法に【生酛仕込】というのがあります。

一番の特長としては、乳酸などはもちろん添加せず(山廃と同じ) かつ、櫂棒(かいぼう)と呼ばれる棒で、仕込んだ初期の状態のお米をすり潰す点です。

 

こちらが櫂棒の写真。

ちなみにこの作業にまで名称があって、それを

山卸し(やまおろし) と言います。

 

ただこの作業が、まぁ大変!笑

長ければ丸1日、2~3時間おきに米をかき混ぜるハードワークです。

 

 そこで1909年に国立醸造研究所の実験で、山卸しを行った酒母と、行わなかった酒母に成分の違いがないか調べたところ、特にないと分かり、この【山廃仕込】が誕生しました!

 

ではではやっと本題に戻りまして、おさらいすると、

生酛仕込は山卸しをするが、

山卸しをしないのが山廃仕込。

山卸しを廃止する

山卸し廃止酛

 

略して……【山廃(やまはい)】となるわけです!笑

 

だれかに山廃のことを聞かれた際は、サラッと 「アレの正式名称は山卸し廃止酛って言って、それを略して山廃って言ってるんだよね」と答えてみるのもいいかもしれません。

その人との関係がどうなるか責任はとれませんが(笑)

【山廃仕込】について その①  その② その③ その④

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