【山廃仕込】についてその③ 暖気とは。


前回は専門用語がどうしても多くなり、なかなか難しい内容になってしまいましたが、引き続き、【山廃仕込】についてその③を書いてみます。

今回も難しくなりそう…笑

こんにちは、杜氏の雄二郎です。

どこでこのテーマについて終わろうか、分からなくなってきましたが、今日は【暖気】について。

まず、私たち蔵人はこちらをダキと呼んでます↓

 

基本的に、この入れ物には60-80度程度のお湯を入れますが、気温がものすごく高い日だったり、これはピンチだなという時は氷水を入れる時もあります。

では、なぜお湯を入れるのか…

こちらの図を。

 

この図は【山廃酒母】を造るときのモデル図みたいなものです。

よーく目を凝らしてもらうと、見えるかもしれませんが、真ん中あたりでジグザグの温度変化が起こってます。

 

目安としては2度上げて、すぐに1度下げる

(イメージは、1日1歩、3日で3歩。3歩進んで2歩下がるみたいな。笑)

話は戻り、暖気にお湯を入れて、それを酒母に1時間程度(うちでは)保温すると2度上がります。

そしてタンクの周りに冷却水を回してすぐさま1度下げる。それを2週間程度繰り返す。

 

なんか聞いてるだけで面倒だと思いませんか。笑 

ただ前回の微生物との共存でも書きましたが、亜硝酸という成分が作られて大まかに雑菌がいなくなるまでは、10度を越すと雑菌が繁殖して腐る危険性も。

なので、すぐに急冷します!

 

では、なぜ暖気で温めるの?

そうなんです、そこなんです。

ここからは私個人の見解も入ってきますのでご了承を。

 

理由としては、暖気を入れることにより部分的にお米が温まり、タンクの中に入っている麹の糖化酵素(甘くなる)が働いて、お米が溶けやすい状態になります。

要するに柔らかいお粥状態を作ってあげます。

 

ちなみにまた説明しますが、生酛(きもと)仕込では、山卸(やまおろし)というお米をすり潰す作業をしますが、山廃仕込はその作業をせず暖気で溶かしてあげるというイメージです。

 

そして糖化が進むことにより、様々な菌が働きやすくなって、酵母ものびのびと発酵できる反面、雑菌も作用して腐敗するリスクも高くなるという。。。 

上手く発酵はさせたい、でも腐らないようにもしたい!それには暖気が必要。でもすぐに冷やしたい。気温の低い冬がやりやすい♪みたいな。笑

 

なので、酒母の状態をこまめに観察しながら暖気を入れては冷やしつつ、育ててあげる。そうすることで伝統製法の【山廃仕込】は出来る訳です。

 

そんな絶妙に育てる製法を、冷却する機械や温度計がない時代に、昔の人たちはどうしていたかと思うと感心しかありません!

 

では、山廃仕込の暖気の作用はここまで。なんか少し疲れましたが。笑

【山廃仕込】について その①  その② その③ その④

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(担当)杜氏

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